Nature ハイライト
Cover Story:濁った水:人工衛星画像によって明らかになった海洋の藻類ブルームの増加
Nature 615, 7951
表紙は、2017年に米国アラスカ沖で発生した藻類の大増殖(ブルーム)の画像である。植物プランクトンのブルームは、水系の表面層における微細な藻類の集積である。藻類ブルームは、他の生物に食物や栄養素を供給し得るが、深刻な環境問題の原因にもなり得る。今回L Fengたちは、沿岸海域のブルームの分布と傾向の包括的なマップについて報告している。彼らは、NASAのAqua衛星が2003〜2020年に捉えた76万枚の画像を評価し、調べた沿岸国153カ国のうち126カ国でブルームを特定した。その結果、2003〜2020年にブルームの影響を受けた水域が13.6%拡大したこと、そして、こうしたブルームの頻度の増大と海洋循環の変化や海面水温の上昇が相関していることが見いだされた。
2023年3月9日号の Nature ハイライト
天体物理学:惑星形成円盤内で直接検出された水分子
量子物理学:光格子中の原子のボース・アインシュタイン凝縮体
物性物理学:無限層酸化物にも見つかったヤーン・テラー効果
物性物理学:常温常圧近傍での超伝導
材料科学:タンパク質の機能を模倣するヘテロポリマー設計
大気化学:山火事のエアロゾルによるオゾン枯渇の激化
海洋化学:海洋の炭酸塩工場
気候科学:熱帯林の減少が降水量の大幅な減少をもたらす
気候科学:アフリカの気候を支配する東アフリカ地溝帯
進化遺伝学:種間で異なる世代当たりの変異率
神経科学:心拍数の上昇は不安様行動を促進する
微生物学:細菌の外膜と細胞壁の生合成を調整する機構
免疫学:ダウン症候群における自己免疫病態の機構
がん免疫療法:TET2は両刃の剣
構造生物学:低分子RNAの生合成の仕組み
遺伝学:H3K4me3は転写開始ではなく転写伸長を調節する
植物科学:葉緑体のTOC–TIC超複合体の全体構造