Nature ハイライト
Cover Story:煙の警告:山火事による大気汚染への曝露が全世界で増えている
Nature 621, 7979
近年の山火事の頻度と激しさの増大によって、荒廃と生命への脅威の観点で差し迫った明白な損失がもたらされている。しかし、こうした火災によって生じる大気汚染の影響は、あまり明らかになっていない。今回R Xuたちは、2000〜2019年の景観火災(主に山火事であるが、開放地の計画的な火入れや野焼きも含む)による大気汚染への全球の人間の曝露の見積もりを提示している。著者たちは、景観火災が、2010〜2019年のオゾンの年間総曝露量の3.6%、直径2.5 μm未満の粒子状物質(PM2.5)の総曝露量の6.1%に寄与しており、個々人が、平均すると毎年9.9日間、大規模な火災に起因する汚染にさらされていると見積もっている。そして、世界中の人々が景観火災による汚染にますますさらされるようになっているが、曝露レベルには著しい格差があり、低所得国の人々は高所得国の人々より4倍高いレベルの火災に起因するPM2.5やオゾンにさらされていると結論付けている。
2023年9月21日号の Nature ハイライト
天文学:宇宙史初期の銀河内の塵からの偏光の観測
物性物理学:量子計量によって誘起される非線形異常ホール効果とダイオード様応答
物性物理学:高圧下のニッケル酸塩にも見られた高温超伝導
ナノスケール材料:ファンデルワールスヘテロ積層構造の作製
化学:浮遊グラフェン電極と水の界面における構造変化
高分子化学:木材用接着剤としてのバイオマス由来リグニン
材料科学:波状メタシートによるスイッチングと書き換えが可能な形状変形
環境科学:流水からの全球のメタン放出量
気候変動生態学:陸と海の取り組みでサンゴ礁を守る
健康科学:低・中所得国での小児の成長遅滞のリスクと影響
神経科学:意思決定の脳内過程に新見解
細胞生物学:植物病原菌のエフェクターは宿主細胞にチャネルを作る
免疫学:最近のオミクロン変異株の特徴
がん:骨転移を促す因子を分泌する新たな幹細胞
分子生物学:Rループによるゲノム不安定化を防ぐ仕組み
細胞生物学:Tim23複合体のクライオ電子顕微鏡構造
細胞生物学:ミトコンドリアのプレ配列タンパク質の輸送機構
構造生物学:小分子GPCRアゴニストの新たに見つかった結合部位