Nature ハイライト
素粒子物理学:重力場中でやはり落下する反物質
Nature 621, 7980
今回CERNのALPHAコラボレーションが、「反物質は落下するのか」という素朴な疑問に答えるために行われた難しい実験の結果を報告している。現在の理論では、反物質は落下すると予想されているが、反物質と重力の間の異常な結合があれば、未知の物理学への手掛かりになるかもしれない。そこで著者たちは、磁気トラップされた反水素が、トラップのスイッチを切った際にずれていく方向を観測することによって、これを検証することにした。その結果、やはり反物質は落下することが分かった。反物質が感じる重力結合は、通常の物質が感じる重力結合とも一致しているが、決定的な評価を得るにはさらなる実験が必要である。標準模型を超えた物理の証拠を探す試みは今後も続く。
2023年9月28日号の Nature ハイライト
天文学:M87中心部で歳差運動する相対論的ジェットの機構
素粒子物理学:重力場中でやはり落下する反物質
量子熱力学:量子統計の違いを仕事に変える機関
量子物理学:スケーラブルなスピンスクイージングの生成
量子物理学:光時計におけるスピンスクイージングの影響
量子物理学:短距離相互作用を通じた量子増強センシング
光学:集積化OLEDによる電気駆動有機レーザー
化学:光触媒反応によるシクロプロパンの脱ラセミ化
気候科学:気候温暖化により増大するカリフォルニア州の山火事延焼のリスク
地震学:地震計データを用いたロシア–ウクライナ紛争における攻撃の特定
生態学:多様性の高い森林は外来種の侵入に強い
古生物学:オルドビス紀のステム群顎口類の立体的な神経頭蓋
免疫学:AHRは肺内皮のバリア機能に重要
免疫学:腸の恒常性とバリア機能を保つ腸内皮AHR
がん免疫療法:がん免疫療法の有望な標的となる受容体を発見
免疫学:リン酸抗原によるヒトγδ T細胞活性化の構造基盤
生物学的手法:嚢胞性繊維症に関係する塩類細胞の働きを解析できるフェレットモデル
がん:免疫チェックポイント阻害の成否は何で決まる?
構造生物学:カルシウム透過性AMPA型グルタミン酸受容体の構造