Nature ハイライト
Cover Story:巨大な絶滅類人猿:史上最大の霊長類が絶滅した原因は何か
Nature 625, 7995
ギガントピテクス・ブラッキー(Gigantopithecus blacki)は、身長が約3 m、体重が200~300 kgで、史上最大の霊長類だったと考えられている。表紙の復元図に描かれたこの大型霊長類は、200万~30万年前の中国に生息していたが、絶滅した理由はいまだに謎のままである。今回Y ZhangとK Westawayたちは、この霊長類の絶滅の時系列と原因に光を当てている。彼らは、中国南部の22カ所の洞窟から化石を収集して年代を測定し、花粉分析の結果と照らし合わせた。その結果、230万年前の環境は林冠の閉じた密林と草原によって構成され、ギガントピテクスに理想的なものとなっていたが、29万5000〜21万5000年前には疎林化が進み、森林の植物群落が変化したことが見いだされた。これはギガントピテクスの食物の多様性の低下につながり、化石にはこの時期にストレスが強まり個体数が減少した兆候が認められた。著者たちは、結局ギガントピテクスは、変化する環境に適応できなかったと示唆している。
2024年1月18日号の Nature ハイライト
天文学:奇妙な電波サークルの衝撃波由来の光学放射
天体物理学:潮汐破壊事象のピーク光度を再現する
計算機科学:探索問題に適用できる大規模言語モデル
計算機科学:数学オリンピックの金メダリストに匹敵する人工知能
ナノスケール材料:二次元金属中の重フェルミオン
物性物理学:ツイスト2層遷移金属ジカルコゲニドにおける整合性の調整
ナノテクノロジー:非平衡自己集合の核生成速度論におけるパターン認識
化学:カルボカチオン転位の結果を計算で予測
太陽光発電:ペロブスカイト太陽電池向けの酸化イッテルビウムバッファー
気候科学:グリーンランド氷床崩壊の加速
進化学:酸素発生型光合成の起源の手掛かりとなる最古のチラコイド
進化遺伝学:遺伝的データから明らかになったバントゥー諸語話者の拡大
社会科学:誤情報を評価するためのオンライン検索に潜む危険性
微生物学:耐性菌に打ち勝つ新しい抗生物質
微生物学:マラリア原虫の赤血球への侵入の構造的基盤
細胞生物学:MRE11はヌクレオソームのcGASを直接活性化して腫瘍を抑制する
分子生物学:tRNAディスプレイ法を使って非カノニカルアミノ酸をタンパク質に組み込む
構造生物学:プロモーターと結合した呼吸器合胞体ウイルスポリメラーゼの構造