Nature ハイライト

Cover Story:意識の変容:マジックマッシュルームがヒト脳に実際に及ぼす実際の影響

Nature 632, 8023

シロシビンは、マジックマッシュルームに含まれる幻覚作用のある化合物だが、大うつ病や嗜癖などの治療薬としても有望視されている。今回J Siegelたちが、この薬物によって引き起こされる脳の状態と、それが時間とともにどのように変化していくかを明らかにしている。彼らは、7人の健常成人を対象に、高用量のシロシビンを単回投与した後、その影響を3週間にわたりMRIスキャンで繰り返し評価し、さらに4人については6カ月後にも評価を行った。その結果、シロシビンは脳内の異なる領域の活動を非同期化させることで、大脳皮質と皮質下の神経結合を著しく乱すことが分かった。この変化は、空間、時間、自己の感覚の形成に関与する脳の部分で最も強く、この乱れの一部は数週間続いた。著者たちはまた、単純な視覚–聴覚一致課題の完了によって、脳への薬物の影響を軽減できることも見いだした。こうした結果から、シロシビンは、脳の可塑性を高める可能性があることが示唆され、強固な不適応的思考パターンに関連する症状の治療に有益である可能性がある。

2024年8月1日号の Nature ハイライト

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