Nature ハイライト
Cover Story:パンクな化石:棘のある3D化石によって初期の軟体動物がより多様に
Nature 637, 8046
軟体動物は、動物界において、節足動物(昆虫類、クモ類、その他の無脊椎動物)に次いで2番目に多様な動物群だが、その進化の歴史には不明な点が多い。これは主に、軟体動物の軟組織の化石記録の保存状態が悪いためである。今週号では、M Suttonたちが約4億3000万年前の軟体動物化石2新種を記載報告している。英国ヘレフォードシャーで発見されたこれら2種の化石は、三次元的に保存されており、Suttonたちはこれを解析して、仮想化石として表紙の画像のように再構築することができた。これらの新種は、独特な棘(骨針)が特徴的な蠕虫様の生物である。著者たちは、そのうちの1種を、パンクロックのヘアスタイルを彷彿とさせる棘を持つことから「パンク(Punk)」と名付け(表紙左)、もう1種は、エモという音楽ジャンルに関連付けられる長い前髪に似た棘を持つことから「エモ(Emo)」と名付けた(表紙右)。このパンクとエモの発見は、初期の軟体動物が現生種よりもさらに多様な動物群だったことを示唆している。
2025年1月16日号の Nature ハイライト
量子物理学:極低温フェルミオンで観測された非エルミート表皮効果
ナノスケール材料:ヤヌス型グラフェンを設計する一般的手法
人工知能:多言語対応の音声・テキスト翻訳モデル
超分子化学:巨視的な形状変化をもたらす分子モーター
化学:有機フッ素化合物の光触媒的還元
化学:ケトンおよびエステルのC–H官能基化
地球化学:炭酸塩メルトにより形成されたクラトン縁辺域の金属鉱床
微生物生態学:氷河関連河川における全級規模の微生物調査
ゲノム編集:遺伝性多遺伝子編集の実現は是か非か
神経科学:快感の取り戻し方
神経科学:学習は文脈込みで
発生生物学:脊索発生を再現するin vitroモデル
進化遺伝学:病原体の進化を系統樹から迅速に追跡する新手法
海洋生物学:珪藻フィトクロムは水深センサーである
神経科学:伸張反射に関与する組織常在マクロファージの発見
がん:腫瘍細胞の皮を被った単球ががんの免疫回避を助ける
がん:膵臓がんの大規模な細胞間プロテオミクス解析
生化学:eIF4Fでは各サブユニットが連携してmRNAを識別する
分子生物学:クロマチンを手掛かりに、セントロメアへと移動するレトロトランスポゾン