Nature ハイライト
Cover Story:見知らぬ光景:JWSTの赤外線観測能力により、これまで検出できなかった多数の小惑星が捉えられた
Nature 638, 8049
小惑星の検出と監視は、地球を衝突から守る上で重要である。主小惑星帯(メインベルト)にある直径1 km以上の大きな天体は、比較的容易に発見・監視できる。しかし、直径10 m未満の小さい天体は、地球近傍に頻繁に接近する可能性があるにもかかわらず、はるかに捉えにくい。今週号ではA BurdanovとJ de Witたちが、標準的な検出手法ではこれまで見えなかった、メインベルトの138個の小惑星を検出したことを報告している。研究チームは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の赤外線観測能力を活用して、複数の画像を合成するなどの合成追跡技術と組み合わせることで、こうした未確認の小惑星を捉えることに成功した。著者たちは、地球に衝突する可能性を持つ天体を監視・研究できるJWSTの能力は、将来の惑星防衛への取り組みにおいて重要な役割を果たす可能性があると示唆している。
2025年2月6日号の Nature ハイライト
惑星科学:イオに浅いマグマオーシャンは存在しない
量子シミュレーション:大規模量子シミュレーターによる量子粗大化現象の観測
統計物理学:大規模群衆によって生み出される振動運動
高分子化学:2つの手法で重合させた分解性架橋樹脂
化学:C–H結合をC–Cl結合に変換する銅依存性酵素
気候科学:最終間氷期を生き延びた南極棚氷
保全生物学:淡水動物は世界的に絶滅の危機にある
古生物学:白亜紀の南極に存在した独特なカモ類
分子生物学:母親由来のX染色体が脳を老化させる
神経科学:脳細胞の老化や若返りの有望な媒介因子
発達障害:異なる滑脳症に共通する基盤
植物科学:植物の葉を病原菌から守る免疫的な細胞状態の特定
幹細胞:最も分化能の高い造血幹細胞の特定
代謝:宿主代謝と腸内細菌の機能を調和させる胆汁酸抱合体
医学研究:がんは免疫回避にミトコンドリアも利用する
医学研究:個別化核酸医薬を迅速に評価できる患者由来細胞モデル
がん:アスパラギン酸は播種したがん細胞の翻訳を変化させて肺転移を促す
分子生物学:並んだヌクレオソームが転写因子をエンハンサーへと誘導する
構造生物学:非リボソームペプチド合成酵素の構造をつかまえる