Nature ハイライト 生化学:抗うつ薬の設計 2007年8月23日 Nature 448, 7156 三環系抗うつ薬は、脳のナトリウム共役型神経伝達物質輸送体を阻害することによって薬効を示すが、これらの阻害薬の分子レベルでの作用機構はほとんどわかっていない。好熱性細菌Aquifex aeolicusから単離したLeuTロイシン輸送体は神経伝達物質輸送体の相同体で、今のところ構造解析に使えることが証明されている唯一の相同体である。今回Singhたちは、クロミプラミン、デシプラミン、およびイミプラミンという3種類の抗うつ薬がLeuTに結合する機序を調べた。これらの薬物は細胞外に向いた窪みに非競合的に結合して、基質の放出を阻害する。ヒトの脳にあるノルエピネフリンやセロトニンの受容体はLeuTとは大きく異なっているが、治療効果が期待される新たな阻害薬の開発に活用できそうな新たな領域が、今回の研究によって示された。 2007年8月23日号の Nature ハイライト 生化学:内部を探る 神経:強迫性障害のマウスモデル 地球:最も古いダイヤモンド 進化:ゴリラとたもとを分かったとき 生態:逝くときは一緒 物理:原子を使って光子を数える 地球:北極は氷に覆われていなかった 気候:クロール・ミランコヴィッチ理論を検証する 生化学:抗うつ薬の設計 免疫:自己免疫の引き金 目次へ戻る