Nature ハイライト 工学:目の細かい周波数コム 2007年12月20日 Nature 450, 7173 光周波数「コム」は、等しい周波数間隔で並んだ多数の光を放出する光源であり、等間隔で並んだ光のスペクトルは「櫛の歯」に似た特徴的な形をしている。周波数コムは分光学と計測学の分野に一大変革をもたらしつつある。例えば、この技術を使った時計は精度の点で、今や最新のセシウム標準などの原子時計に勝っていることがある。しかし、周波数コムの発生に必要な装置は扱いにくく複雑で、通常は大型のフェムト秒レーザーを使うことが多い。今回Del’Hayeたちは、コムを発生させる根本的に異なった方法を開発した。この方法では、シリコンチップ上にある小さい円板形の共振器に標準的なレーザーダイオードの光を照射するだけである。その結果、レーザー光と共振器との間に相互作用が生じ、赤外光を放出する光周波数コムが得られる。この方式は簡単であり、大きさ、価格、消費電力の低減が望めることから、幅広い分野での光周波数コムの有用性が高まるだろう。 2007年12月20日号の Nature ハイライト 進化:花のたどった道のり 物理:フォノンなんて要らない 進化:クジラ類の祖先 医学:血中の癌細胞を効率よく検出 宇宙:お月さん、いくつ? 工学:目の細かい周波数コム 古気候:温暖化が先か、炭素注入が先か 細胞:Nanogの機能を見直す 生理:試行錯誤で技を磨く 神経:外部刺激に敏感なシナプス 目次へ戻る