Nature ハイライト 発生:発生中の網膜に指示を出す分子 2011年2月10日 Nature 470, 7333 網膜は、数種類の異なった型の細胞が精密な設計に従って相互に接続してできた積層構造を持ち、こうした構造は正常な視覚に不可欠である。R Matsuokaたちは、このような回路の発生を制御している分子機構の一部を明らかにした。軸索誘導時に反発性シグナルとして通常最も活発に働く膜貫通型分子が、網膜内で特殊な発現パターンを示し、これが異なる型の細胞どうしの適切な接続を促進する。セマフォリンファミリーやプレキシンファミリーの特定のアイソフォームを持たない変異マウスは、網膜の回路に重大な欠陥が生じる。したがって、ニューロン突起自体に存在している反発性シグナルが、網膜内部の層構造間の適切な連結を誘導していることになる。 2011年2月10日号の Nature ハイライト がん:前立腺がんに見られる遺伝的変異 脳:攻撃行動と交尾行動はリンクしている? 構造生物学:多サブユニット複合体の解明を進める 宇宙:初期の銀河団のようす 化学:多角化する不斉触媒 気候:南極の気候への影響の変化 系統分類:無腸類は単純な生き方を選んだ 発生:発生中の網膜に指示を出す分子 目次へ戻る