Nature ハイライト

Cover Story:福島:原子炉国有化という事例:黒塗りされた原子炉運転マニュアルが示す情報隠蔽

Nature 480, 7377

2011年3月に起こった自然災害によって破壊された福島第一原子力発電所(原発)からの放射性物質の降下とその政治的な余波に日本がどのように対処するのかは、世界の原子力産業にきわめて大きくかかわってきそうだ。今週号の Comment では、2人の高名な日本人政治家、平智之と鳩山由紀夫が、震災復興過程の一部として福島第一原発を国有化することを求めている。彼らは、政府の管理下にあって初めて、科学者たちが実際に何が起こったのかを見いだし、事故の余波に対処するのに必要な計画を立てることが可能になると論じている。現在のやり方の不適切さを示す例の1つが、表紙に掲載した、黒塗りされた原発作業員用運転操作手順書である。この手順書は、福島第一原発の操業にあたっている東京電力株式会社によって国会の委員会に提出されたもので、黒く塗りつぶされた箇所が非常に多いために、内容がほとんどわからなくなっていた。(Comment p.313)

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