Nature ハイライト

遺伝:眠り姫が生み出す変異体

Nature 436, 7048

動物でランダム変異誘発を可能にする新しい系が開発された。この系は、腫瘍形成への影響といった遺伝子機能の重要性を解明するための新しい強力な手段となる。今週号では2つの研究グループが、ゲノム内でジャンプするDNA断片であるトランスポゾンの1種Sleeping Beautyの改造版について報告している。この名前は、このトランスポゾンが通常は不活性DNAとして休眠状態にあることに由来する。しかし今回、マウスでこのトランスポゾンの転位能を呼び覚ますことに成功した。この成果は、哺乳類でランダム変異を効率的に作り出すために役立つと考えられる。  D Largaespadaたちが設計したSleeping Beautyトランスポゾンは、ゲノム内でジャンプしてDNA配列のさまざまな場所に自己を挿入することで遺伝子の発現を促進したり抑制したりする。一方、N Jenkinsの研究グループは、遺伝子工学的手法でSleeping Beautyを小型化し、その転位に関与するタンパク質を多量に発現するマウスを作り出した。  「この技術は非常に強力な手段となるだろう。なぜなら転位を触媒する酵素トランスポザーゼは特定の細胞あるいは特定の発生段階で選択的に発現するように設計できるので、その細胞または決まった時期にのみ転位を引き起こすことができるからだ」とK WeiserとM JusticeはNews and Viewsで述べている。

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