Nature ハイライト
進化遺伝学:表現型可塑性が選択的進化に及ぼす影響
Nature 525, 7569
表現型可塑性は、変化した環境条件に対する個体群の進化的適応に関わっていると考えられるが、表現型可塑性が適応を促進するのか阻害するのかは明らかになっていない。今回、捕食者の存在しない新たな環境でグッピーを進化させた研究で、遺伝子発現に生じる変化が観察された。その結果、発現の差異を進化させたのは、祖先個体群で表現型可塑性が適応的だった遺伝子ではなく、発現の可塑性が非適応的な遺伝子だった。言い換えると、発現が環境に対して有利な方向に応答する遺伝子は、選択的な進化はしない傾向があり、その一方で、発現変化が不利になるような遺伝子には強い選択がかかるのである。
2015年9月17日号の Nature ハイライト
神経科学:シナプスへの光遺伝学的操作を使って記憶を追跡する
プロテオミクス:動物のタンパク質複合体の種をまたいだ解析
分子生物学:脊椎動物におけるDNA複製終結
光物理学:無損失のパリティ–時間対称性
材料科学:高Tc超伝導体の幾何学的形状
環境科学:大気汚染と若年死亡率の関連性
進化遺伝学:表現型可塑性が選択的進化に及ぼす影響
植物科学:植物で新しく見つかった防御分子
がん:グリタゾン系抗糖尿病薬による白血病の治療
分子生物学:細菌におけるDNA複製終結
構造生物学:GTPアーゼであるダイナミンの構造