【化石】地球に初めて出現した菌類？
Nature
カナダ北極域の頁岩層に保存されていた大量の化石菌類が、10億～9億年前のものと年代決定されたことを報告する論文が、今週掲載される。先行研究では、明確な地球最古の菌類の化石記録の年代は少なくとも4億年前であるという測定結果が得られていたが、今回の知見によって原生代中期までさかのぼることとなった。
菌類は現代の生態系の重要な構成要素であり、陸上での最初の生命の徴候と関連している。それにもかかわらず、約4億年前の古生代中期より古い菌類の化石記録は存在していなかった。
今回、Corentin Loronたちの研究グループは、カナダのノースウエスト準州にあるグラッシーベイ累層から出土した河口性の頁岩に保存されていた有機壁を持つ微化石Ourasphaira giraldaeの標本について報告している。Loronたちは、分離菌糸を同定して、微化石標本の細胞壁にキチン（菌類の細胞壁を形成する繊維状物質）が存在していることを明らかにし、これによってO. giraldaeの構造が菌類に特徴的なものだと結論付けている。この新知見は、地質学的記録に残された最古のキチンを示している。また、この知見によって、オピストコンタ（動物と菌類が含まれるクラウン群真核生物）の出現時期はこれまで考えられていたよりもずっと前にさかのぼることになった。
Abundant fossil fungi dating to between 1,000 and 900 million years ago, preserved in shales from Arctic Canada, are described in a paper published this week in Nature. Previous research dated the first unambiguous fossil records of fungi to at least 400 million years ago. However, these new findings push back the record into mid-Proterozoic era.
Fungi are crucial components of modern ecosystems and are associated with the earliest signs of life on land. Nevertheless, fungi have been absent from the fossil record until the mid-Palaeozoic era, around 400 million years ago.
Corentin Loron and colleagues report specimens of the organic-walled microfossil Ourasphaira giraldae preserved in estuarine shale of the Grassy Bay Formation in Northwest Territories, Canada. The authors identified septate hyphae and the presence of chitin in the cell walls of the specimens, determining that the structure of O. giraldae is characteristically fungal. This represents the earliest presence of chitin - a fibrous substance that forms fungal cell walls - in the geological record. The findings also push back the origins of opisthokonts, the eukaryotic crown group that includes animals and fungi, to much earlier than previously thought.
doi: 10.1038/s41586-019-1217-0
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