Research press release

ウイルス学:牛のH5N1型インフルエンザは搾乳によって広がる可能性がある

Nature

乳牛の間でH5N1型インフルエンザウイルスが感染する主な経路は、搾乳手順である可能性が高いことを報告する論文が、今週発行のNatureに掲載される。

2024年春、高病原性H5N1型鳥インフルエンザが米国の牛から検出され、少なくとも13州の190以上の酪農場で感染が確認された。搾乳機器が感染経路である可能性が高いが、より詳細な評価が必要である。

Jürgen RichtとMartin Beerらは、現在米国で家畜の間で流行しているH5N1亜型2.3.4.4bを子牛と泌乳牛に実験的に感染させ、感染経路に関する見識を得ようとした。著者らは、口腔および鼻腔から感染した9頭の子牛と、乳腺に接種した3頭の泌乳牛における感受性と感染を比較した。さらに、ヨーロッパで流行している鳥インフルエンザ(H5N1 euDG)の株を3頭の乳牛に接種した。

子牛への感染は、中程度のウイルス複製を伴う軽度の臨床症状を引き起こしたが、同居の子牛への感染は見られなかった。一方、乳牛は発熱、乳房炎、および乳量の急激な減少など、重度の乳腺感染症を示した。乳汁中のウイルスレベルの急激な増加が観察されたが、全身感染や鼻腔からのウイルス排出の証拠は検出されなかった。これらの結果から、H5N1型鳥インフルエンザウイルスが牛の間で感染する主な経路は、呼吸器感染ではなく、乳汁や搾乳手順である可能性が高いことが示唆される。

乳牛の間でH5N1型インフルエンザウイルスが感染する主な経路は、搾乳手順である可能性が高いことを報告する論文が、今週発行のNatureに掲載される。

2024年春、高病原性H5N1型鳥インフルエンザが米国の牛から検出され、少なくとも13州の190以上の酪農場で感染が確認された。搾乳機器が感染経路である可能性が高いが、より詳細な評価が必要である。

Jürgen RichtとMartin Beerらは、現在米国で家畜の間で流行しているH5N1亜型2.3.4.4bを子牛と泌乳牛に実験的に感染させ、感染経路に関する見識を得ようとした。著者らは、口腔および鼻腔から感染した9頭の子牛と、乳腺に接種した3頭の泌乳牛における感受性と感染を比較した。さらに、ヨーロッパで流行している鳥インフルエンザ(H5N1 euDG)の株を3頭の乳牛に接種した。

子牛への感染は、中程度のウイルス複製を伴う軽度の臨床症状を引き起こしたが、同居の子牛への感染は見られなかった。一方、乳牛は発熱、乳房炎、および乳量の急激な減少など、重度の乳腺感染症を示した。乳汁中のウイルスレベルの急激な増加が観察されたが、全身感染や鼻腔からのウイルス排出の証拠は検出されなかった。これらの結果から、H5N1型鳥インフルエンザウイルスが牛の間で感染する主な経路は、呼吸器感染ではなく、乳汁や搾乳手順である可能性が高いことが示唆される。
 

Halwe, N.J., Cool, K., Breithaupt, A. et al. H5N1 clade 2.3.4.4b dynamics in experimentally infected calves and cows. Nature (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08063-y
 

Milking procedures are likely to be the primary routes of H5N1 influenza virus transmission between dairy cows, suggests a paper published in Nature this week.

Highly pathogenic H5N1 avian influenza was detected in cattle in the USA in the spring of 2024 and has affected more than 190 dairy cattle farms in at least 13 states. Milking equipment may be a likely route of transmission, but more detailed evaluation is needed.

Jürgen Richt, Martin Beer and colleagues experimentally infected calves and lactating cows with H5N1 clade 2.3.4.4b, currently circulating in cattle in the USA, to provide insight about likely modes of transmission. They compared susceptibility and transmission in nine calves infected via the oral and nasal cavity, and three lactating cows via inoculation of the mammary glands; an additional three dairy cows were inoculated with a strain of bird flu circulating in Europe (H5N1 euDG).

Infection of the calves resulted in mild clinical presentation, with moderate viral replication but no transmission to co-housed calves. By contrast, the dairy cows displayed severe mammary gland infection, including fever, mastitis and abrupt reduction in milk yield. A drastic increase in the levels of virus in the milk was observed, but no evidence of systemic infection or nasal shedding in the nasal passages were detected. These findings indicate that the milk and milking procedures, rather than respiratory spread, are the likely primary routes of H5N1 transmission between cattle.

doi: 10.1038/s41586-024-08063-y

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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