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複合プラスチック製品のリサイクルを改善する

リサイクルすることが難しい複合材料への取り組みは、リサイクル産業の意味ある発展につながるだろう。

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一般的な破砕機でリサイクルされた光ファイバープラスチックでは、コアのワイヤーが混合されていない。

Credit: MSC

中国は2018年に、リサイクル用のプラスチック廃棄物の大半について、輸入することを禁止した。それ以来、日本は大きな課題に直面している。輸入が禁止される以前は、日本は中国と香港に年間約150万トンのプラスチック廃棄物の約半分を輸出していたのだ。

日本は今も世界有数のプラスチック廃棄物輸出国であり、現在ではマレーシア、ベトナム、インドネシアなどへとプラスチック廃棄物を輸出している。しかし2019年、日本は「プラスチック資源循環戦略」を策定した。これは、2030年までに日本がプラスチック資源のリサイクルと循環のリーダーになることを目指す枠組みである。

日本ではこの枠組みが策定されて以来、国内のリサイクル可能量を増やすためだけでなく、リサイクル技術の革新を加速させるための積極的な取り組みが行われている。国連の持続可能な開発目標(SDGs)で、廃棄物を世界的に大幅削減することが掲げられた今、この取り組みはさらに加速すると思われる。

複合材問題

リサイクルシステムを手掛ける株式会社MSC(仙台市)の代表取締役である麦谷貴司は、リサイクルの難しい材料に取り組むことが、リサイクル業界を有意義に前進させると述べる。日本のプラスチックの年間生産量と消費量は現在約1045万トンだが、このうちリサイクルできるのはわずか177万トンだ。

「さらにその多くがリサイクル工場内で廃棄されるため、市場に戻ってくるプラスチックは33万トンにすぎません」と麦谷は説明する。「焼却されたり埋め立て地に送られたりする廃プラスチックを根本的に減らすためには、取り扱うのが難しい素材をリサイクルできる実用的な機械を開発して、製品化することが重要です」。

日本は米国に次ぐ世界有数のプラスチックごみの生産国である。

Credit: Makiko Tanigawa/DigitalVision/Getty

リサイクルが難しいプラスチック材料は、樹脂を含む複合材料や、金属を含む複合材料など、日常的に使われている。例えば、ポテトチップの袋(新鮮さを保つための、プラスチックと蒸着用アルミニウムの複合材料)のような食品包装から、電気ケーブル(加熱によって硬化する樹脂と金属の複合材料)までさまざまだ。

MSCは以前、電気ケーブルのリサイクルに成功し、この技術は特許出願中である。現在、麦谷は、環境省の委託プロジェクトで、光ファイバーケーブルでも同様の成功を収めることを目指している。

「光ファイバーのリサイクルに成功すれば、難易度の高い素材のリサイクルを促すロールモデルになる可能性があります」と麦谷は述べる。

光ファイバー問題を解決する

光ファイバーは通常、超高純度の石英ガラス製のコアが、別の種類のガラスやプラスチックの層で覆われている。これらの材料は、長距離の高速なデータ伝送のために重要であるが、リサイクルには大きな課題がある。光ファイバーそのものが非常に細く、多くの場合、その直径は約125 μmしかない。このため、材料を分離するのが難しい。

さらに、光ファイバーには金属や他のポリマーも含まれている。これらの要因が合わさって、そのリサイクル過程は複雑でコストのかかるものとなっており、年間9000トンの光ファイバー廃棄物の約半分が埋め立てられるか焼却されている。

光ファイバーをプラスチックにリサイクルするために粉砕した3種類のサンプル。使用する粉砕機の違いによって、このように違いが生まれる。

Credit: MSC

麦谷によると、これまで大企業は、まず樹脂とガラスファイバーを分離して、光ファイバーをリサイクルしようと試みてきたという。これは技術的には可能だが、処理に必要な労力に比べると、回収される材料の量は微々たるものだ。

そのためMSCは、光ファイバーを分離することなく、樹脂とガラスファイバーを粉砕して微粉末にするという新たな方法を切り拓いた。こうすることで、後から機械で溶かして練り上げて、高品質の再生プラスチックにすることができるのだ。

このプロジェクトのカギは、MSCが、廃プラスチックを直径100~300 μmの粉末状にするために使用する粉砕機を改良したことにある。「従来の粉砕機では、リサイクルされたプラスチックは機械の温度上昇に伴って、溶けたり固まったりしていたのです」と麦谷は説明する。「改良した粉砕機では、粉砕時に樹脂が溶けないよう、刃の形状と冷却機構を変更しました。その後に、大規模リサイクル設備を開発しました」。

改良された冷却機構は特に、高価な液体窒素による冷却方法を必要としないため、コストの削減が望め、コストを市販の熱交換器を使用した場合の約50分の1に削減できると期待されている。

しかし、この業界がさらに進展するためには、樹脂の専門家とさらに共同研究を行ったり、産業界から新たなプレイヤーを迎え入れたりすることが不可欠だと麦谷は言う。

専門性の育成

麦谷はまた、革新的なリサイクル技術を成功に導くために、機械オペレーターの専門知識を構築することが重要だと強調する。

「日本のリサイクル業者は、複合材料や化学物質のリサイクルよりも、収集や分別に力を入れてきました。その一因として、再生プラスチックの市場が儲からなかったことも挙げられます」と麦谷は言う。「再生プラスチックを大量に生産するインセンティブがほとんどなかったため、機械オペレーターは、樹脂やその性質、そして樹脂の汚れに関する基礎知識がなくてもやっていくことができていました。しかし、国内でのリサイクルの需要が高まっていることを考えると、機械オペレーターはこうした知識を持っていることが重要です」。

大企業は専門チームを育成する必要があるかもしれないと、麦谷は述べる(囲み参照)。「日本のリサイクルの多くを担っている中小企業は、幅広いスキルを持つチームを育成する必要があるでしょう」。

リサイクル専門家の養成プログラム

日本で高度なリサイクル資源を創出しているリサイクルシステム会社MSCの代表取締役である麦谷貴司。

Credit: MSC

リサイクルシステム会社であるMSCでは、2022年より、MSCが作成した教科書を活用した理論教育と、リサイクル施設で一般的な機械を使った体験教育を融合させた、没入型の教育システムを開始した。カリキュラムでは、樹脂の特性、機械力学、電気部品、安全プロトコル、作業効率、メンテナンスの必要性、ライフサイクルアセスメントの重要性、消費電力の節約法など、機械を操作するエンジニアに不可欠な技術的知識とスキルを深く掘り下げている。

また、認証制度の整備も進められている。代表取締役である麦谷貴司は、これによって日本のリサイクル業界の水準向上に貢献したいと考えている。「認定段階が構造化されることで、学習者は、基礎的なトピックと高度なトピックを明確に把握できるようになります。リサイクルを専門分野として位置付け直すチャンスですが、これには専門的な知識が要求されます」と麦谷は言う。

社会意識も優先事項の1つだ。麦谷はこれを熱心に訴えており、環境問題に取り組むためにリサイクル技術を洗練させる緊急性があることを強調する映画の制作にも取り組んでいる。麦谷は、こうした教育活動と環境活動(海岸清掃団体との協力など)は、相互に補強し合うものだと考えている。

「ゴミを集めるだけで終わるわけではありません」と麦谷は言う。「私たちは、その後のこと、特に焼却と埋め立ての問題に取り組まなければなりません。具体的な変化をもたらすには、国民が廃棄物処理プロセスを充実させることの意義を理解しなければならないのです」。

原文:Better recycling for complex plastic products

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