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物理学:スマートフォンによる電離層の変化のマッピング

Nature

2024年11月14日

Physics: Mapping changes in the ionosphere with smartphones

何百万台ものスマートフォンから集められた測定値は、地球の電離層に関する包括的な地図を作成するために使用することができ、より精度の高い全地球測位システムにつながるかもしれないことを報告する論文が、Nature に掲載される。

電離層は、太陽風や地磁気嵐の影響を受ける自由電子から構成される地球の大気圏上部である。地球の周りを回る衛星から地球に送られる電波は、電離層内の異なる領域における電子の挙動によって速度が異なり、例えば地球の全地球測位システムを搭載した衛星の精度に影響を与える。電離層内の電子濃度を追跡することで、電波速度の差異を補正することができるが、地上設置型の全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)受信機で生成された地図には、空白部分が生じる可能性がある。

Brian Williamsらは、何百万台ものAndroid(アンドロイド)スマートフォンから匿名化された測定値を使用して、電離層とその動的状態の地図を作成した。これは、従来の地上設置型受信機の2倍のカバー範囲である。一部のAndroidスマートフォンには、大型の地上設置型受信機と同じ測定値を収集できるデュアル周波数GNSS受信機が搭載されている。1日あたり、約4,000万台の携帯電話が生成する電離層マップと、2023年の2か月間に9,000台のGNSS受信機が生成する電離層マップを比較したところ、両者のマップには高い一致性が見られることが分かった。Williamsらは、携帯電話と地上設置型受信機は世界中に存在しているが、東ヨーロッパ、インド、南アジア、および南米とアフリカの一部では携帯電話のほうがより多くカバーされているため、これらの地域上空の電離層のマッピングがより正確になる可能性があると指摘している。

著者らは、Android携帯電話の技術は、GNSS地上設置型アレイよりもはるかに小型で洗練されていないため、測定ノイズの量が増加するという明確な限界があることを認めている。

Smith, J., Kast, A., Geraschenko, A. et al. Mapping the ionosphere with millions of phones. Nature 635, 365–369 (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08072-x

doi: 10.1038/s41586-024-08072-x

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