Research Press Release

米国で予想されるオゾン汚染の減少を相殺する中国からの輸送

Nature Geoscience

2015年8月11日

対流圏下部の汚染されたオゾン濃度は、中国で2005年と2010年の間に放出量の増加と高層大気からの下向きの輸送が増加したことの両方に応答して増加したという報告が、今週のオンライン版に掲載される。中国におけるオゾンとその前駆物質放出の増加は、規制が厳しくなって米国西部で大気の品質が向上していることの43%を相殺している。

オゾンは大気最下層である対流圏で温室効果ガスとして働き、地表近くでオゾン濃度が上昇していることは、人類および環境の健康に悪影響を及ぼしている。オゾン量は、風による長距離の輸送だけでなく、主に窒素酸化物や炭化水素などの前駆物質の局所的な放出により決まっている。

Willem Verstraetenたちは、2005~2010年の中国と米国西部の対流圏オゾン濃度変化を、人工衛星観測と化学輸送計算モデルを用いて評価した。彼らは中国全体にわたるオゾン濃度の顕著な変化を見つけたが、米国西部では大気汚染規制が厳しくなっているにもかかわらず大きな変化は見つからなかった。中国全体からの放出量増加がある場合とない場合のシミュレーション結果を比較することで、彼らは中国全体の放出による相殺量を約43%と定量化している。

doi:10.1038/ngeo2493

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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