Research Press Release
光で痛くなる仕組み
Nature Neuroscience
2010年1月11日
片頭痛の痛みは光によって悪化する。考えられる理由の1つとして、Nature Neuroscience(電子版)によると、目の光感受性細胞と脳の片頭痛知覚に重要なある神経細胞の間に、これまで知られていなかった結合があるという研究が報告されている。
R Bursteinらは、目の見えない片頭痛患者でも多くが光を避けることに気づいたが、眼球全体や脳と目をつなぐ視神経を失った全盲患者は光を避けようとしなかった。つまり、光による片頭痛の悪化はどうやら、目の網膜ニューロンのうちある1種類を介して光を感知することが関係しているらしい。この網膜ニューロンは本質的に光感受性で、日周リズムの制御に携わるが、視覚に寄与することは知られていない。
この考えを検証するため、研究チームは、ラットで網膜から脳の痛みにかかわる領域への結合を直接調べ、光感受性ニューロンの一部を含む網膜の軸索が、脳の視床という領域の神経細胞群と実際に連絡していることを見つけた。視床は片頭痛に関連する痛みのシグナルを受け取り送り出すことが既に知られている。片頭痛が光で悪化する仕組みはこの結合で説明できるかもしれない。
doi:10.1038/nn.2475
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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