Research Press Release

ヨセミテの落石は熱を感じている

Nature Geoscience

2016年3月29日

危険な落石は通常の温度の日変化が引き金となりうるとの報告が、今週のオンライン版に掲載される。この研究は、険しい山岳景観地で自然に夏季に起きるように見える落石の真相を明らかにしている。

落石は、地震、豪雨あるいは凍結が引き金となることがあるが、このような引き金が存在しない温かい天気の良い日に起きることもある。カリフォルニアのヨセミテ渓谷にある有名な花崗岩の崖で起きる落石の約15%は、最も温度が高い夏季の月の日中で最も温度の高い時間に起き、温度の役割が示唆されている。

Brian CollinsとGreg Stockは、ヨセミテ国立公園にある高さ500メートルの崖で、いわゆる割れ目測定器を用いて、割れ目の道筋の幅の変化を3年間にわたって解析した。割れ目は、板状の岩石の一部を崖の残りの部分から分離させるが、著者たちは温度の日変化に対応して割れ目が毎日開いたり閉じたりすることを発見した。また、季節が変わるにつれて、割れ目の開口が蓄積されていくことを観測した。著者たちは、温度の日変化および季節変化により、板状の岩石が落石として壊れるまで割れ目の成長が進行していくと解析している。著者たちは、一日および年間で最も温度が高い時間および時期は特に落石の引き金に寄与しており、それはヨセミテの落石の記録や似たような景観を持つ他の場所での観測と一致しているとの結論を出している。

同時掲載のNews & Viewsの記事で、Valentin Gischigは、「次の数十年間に気候が温暖化するにつれて、温度が引き起こす落石は災害評価と崖の浸食にとってより重要となる可能性がある」と述べている。

doi:10.1038/ngeo2686

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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