【創薬】電子タバコを使った治療用大麻の蒸気吸入
Scientific Reports
2016年5月26日
電子タバコを使った大麻蒸気吸入(論文著者はこれを“cannavaping”と呼ぶ)が治療用カンナビノイドの新たな投与方法となる可能性が、初期研究で判明した。この結果を報告する論文が、今週掲載される。
欧米諸国では、治療用大麻の投与が増えてきており、大麻タバコに火をつけて煙を吸い込むことは一般的に不適切な方法だと考えられている。その代わりに推奨されてきたのが蒸気療法だ。
今回、Vincent Varletたちは、治療用大麻の投与方法としてマリファナ喫煙に代わる大麻蒸気吸入の効率を評価した。この研究では、ブタンガスを使って大麻からカンナビノイドが抽出され、濃縮ブタンハッシュオイル(BHO)を含むEリキッド(電子タバコ補充液)が作られ、霧化できるようにした。こうした電子タバコが3種類作製され、発生したガスのサンプルが回収されて、分析された。また、Varletたちは、大麻蒸気吸入によって、通常の大麻タバコに火をつけた時に放出されるかなりの量の有毒な混入物質(例えば、揮発性有機化合物(VOC)やカルボニル)の吸入が避けられることを見いだした。
また、Varletたちは、BHOを使った違法な大麻蒸気吸入が大麻喫煙者の間で盛んに行われるようになるリスクは低いと考えている。BHOは市販の電子タバコ補充液に溶けにくいため、嗜好目的で大麻を使用する者のほとんどが好む高濃度のBHOを含む補充液の製造ができないと考えられるからだ。
Varletたちは、今回の研究では単一のタイプの電子タバコだけが評価対象とされたため、他の電子タバコの装置、ブランド、補充液では異なるカンナビノイドが製造され、カルボニルとVOCの濃度も異なっている可能性がある点も指摘している。
doi:10.1038/srep25599
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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