Research Press Release
うつの治療に新しい標的
Nature Medicine
2010年11月29日
2種類の神経伝達物質受容体どうしの直接的な物理的相互作用の阻害が、うつの治療の新しい標的になる可能性があるという。
うつ病患者では、神経伝達物質ドーパミンが変化していることはよく知られている。F Liuたちは、大うつ病患者の脳では2種類のドーパミン受容体(D1とD2)の直接的な結合が著しく増加していると報告している。ラットでの研究により、D1-D2受容体複合体を破壊するペプチドを投与すると、うつ状態に関係するとされる行動が大幅に減少することがわかった。
受容体複合体の形成を阻害しても、D1、D2受容体のドーパミンシグナル伝達機能は必ずしも変化しないので、このタンパク質間相互作用を治療の標的とすれば、ドーパミン受容体の機能を抑制する薬(望ましくない副作用が出ることが多い)よりも優れた薬になる可能性がある。
doi:10.1038/nm.2263
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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