【健康】発熱が心機能に及ぼす影響を解明する
Nature Communications
2016年10月5日
発熱すると心臓のリズムが不規則になることがあるが、心筋細胞の電気信号を調節する重要な因子がこうした心臓リズムの異常を防ぐ役割を担っていることがマウスの研究によって明らかになった。この研究成果を報告する論文が、今週掲載される。このタンパク質を標的とする治療法が将来的に開発されれば、体温が上昇した時に心臓リズムを調節するために役立つ可能性のあることがこの論文で示唆されている。
発熱は、感染症に対する体内の防御系の一環として多く発生する。発熱は、生存率を向上させる一方で、興奮性組織(例えば、脳や心臓)の機能に悪影響を及ぼし、発作や生命に関わる心臓リズムの変化(不整脈)の発生につながる。
今回、Glenn Fishmanたちは、電気信号に対する興奮性細胞(例えば、心筋)の応答を調節することが知られた繊維芽細胞増殖因子相同因子-2(FHF2)というタンパク質を特異的に欠損した遺伝子組み換えマウスを作製した。この変異マウスは、深部体温が摂氏37度で正常な心臓リズムを示したが、深部体温を摂氏3度上昇させると、心臓の電気伝導系が機能不全を起こし、心拍数が致命的なレベルまで徐々に減少した。そして、Fishmanたちは、正常な体温(平熱)に戻せば、この症状が完全に回復することを実証し、この心筋細胞の興奮に対する温度感受性抑制の背後にある機構がナトリウムチャネルの不活性化の変化であることを明らかにした。
Fishmanたちは、今回の研究で得られたデータが、発熱による不整脈と発熱によるてんかんの間の機構的つながりの可能性も示していると考えている。
doi:10.1038/ncomms12966
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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