【惑星科学】ケレスの地中は予想より氷含有率が低く塩分が多い
Nature
2016年6月30日
火星と木星の軌道間の小惑星帯に位置する準惑星ケレスの周回軌道を飛行するNASAの宇宙探査機「ドーン」が集めたデータの解析が新たに行われ、その結果を報告する論文が、今週、NatureとNature Geoscienceにそれぞれ掲載される。この2編の論文は、ケレスの謎の明るい光点と地表下の組成に関する手掛かりをもたらしており、地表下には過去に何らかの液体が存在していたことがあり、それが一時的なものだった可能性があり、今でも何らかの液体が存在している可能性のあることを示唆している。
ケレスは大部分の表面が暗いが、130か所以上の明るい光点があり、中でも最も明るい光点が「オッカトル」クレーター内に位置している。これまでの研究では、これらの小さな明るい領域に大量の水和硫酸マグネシウムが含まれていることが示唆されていた。
Natureに掲載されるMaria Cristina De Sanctisたちの論文では、ケレスから1,400 kmの位置にある宇宙探査機「ドーン」に搭載された可視光・赤外線マッピング分光計によって収集されたデータの解析結果について報告されている。De Sanctisたちは、オッカトルの麓にある明るい物質のスペクトルが、暗い物質、少量のフィロケイ酸塩(ケイ酸塩鉱物の一種)と炭酸アンモニウムまたは塩化アンモニウムと混ざった大量の炭酸ナトリウムのスペクトルと一致していることを報告している。De Sanctisたちは、こうした化合物は、衝突クレーターが形成した後にケレスの地中から地表へ輸送されたという考えを示している。
一方、Nature Geoscienceに掲載されるMichael Blandたちの論文では、ケレスの最大級のクレーターの深さが明らかにされており、その大部分が深すぎて、ケレスの岩石質の外層の地下の大部分が氷によって構成されているとは考えにくいという考えが示されている。Blandたちは、ケレスの地中における氷は全体の30~40%に過ぎず、残りの60~70%は、岩石と高強度の低密度物質(水和塩とクラスレートでできている可能性がある)だと結論づけている。
doi:10.1038/nature18290
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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