Research Press Release
ヒト幹細胞の簡単な多能性検定法
Nature Methods
2011年3月7日
任意のヒト幹細胞株が多能性を持つかどうかを検定する簡単な方法が、Nature Methods(電子版)で発表される。この方法論は、ますます増えつつあるヒトの胚性幹細胞株および人工多能性幹細胞株の多能性に関して、高度に標準化された評価を可能にすると考えられる。
ヒトの多能性幹細胞は、原理的にはあらゆる種類のヒト細胞を生み出すことができるため、基礎研究と医学の両面できわめて興味深いものである。マウス幹細胞株の多能性は、マウスの体のすべての部分を形成する能力を評価することによって検定することができる。倫理上、ヒトではそうした試験を行うことができないため、ヒト細胞は、いやおうなく厳密性の低い代用的な検定法で機能的に検定されている。
F-J Müllerたちは今回、ヒト幹細胞の多能性に関するバイオインフォマティクス的な検定法を発表している。研究チームは、既知のヒト多能性細胞株の遺伝子発現パターンに関する大規模なデータセットを利用して、多能性細胞と非多能性細胞とを区別することができるアルゴリズムを構築した。このアルゴリズム、およびそれに付随する一般公開されたウェブに基づくソフトウェアツール「PluriTest」は、研究者が自分の調べたいヒト細胞株が多能性を持っていそうかどうかを推測するのに利用することができる。
doi:10.1038/nmeth.1580
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:大きな鳥は必ずしも鳥頭というわけではないScientific Reports
-
コンピューターサイエンス:AIツールが創造的なビデオゲーム開発を支援Nature
-
生態学:深海の生態系を調査するNature Communications
-
がん:CAR-T療法を受けた患者に長期寛解Nature Medicine
-
素粒子物理学:最高エネルギーのニュートリノが話題を呼ぶNature
-
動物の行動:カメは磁気地図が食べ物に導くと踊るNature