【天文学】高速電波バーストの母銀河が同定される
Nature
2016年2月25日
高速電波バースト(FRB)の位置と母銀河、赤方偏移を初めて同定した論文が、今週掲載される。今回の研究では、深宇宙由来の謎に包まれた電波閃光であるFRBの起源を示す新たな証拠が得られ、少なくとも2種類のFRBが存在していることが示唆されている。
FRBは、わずか数ミリ秒間の電波のバーストで、遠方にある銀河を起源としている可能性があるが、生成過程に関する一般に認められた説明がない。FRBの発生場所との距離は、赤方偏移の測定によって判明すると考えられているが、FRBが消滅するまでに天球座標を正確に決定することが難しいため、これまでFRBの赤方偏移が決まらずにいた。
今回、Evan Keaneたちは、パークス天文台(オーストラリア)の電波望遠鏡を用いてFRB 150418を発見したことを報告している。今回の研究では、FRB 150418の起源が赤方偏移z=0.492の距離にある楕円銀河であったことが判明した。これまでにFRBの発生位置と母銀河が同定されたことはなく、正確な赤方偏移が決定されたこともなかったことをKeaneたちは指摘している。また、Keaneたちは、FRB 150418が消え去るまでに6日かかったことを理由に、その起源がパルサーである可能性が低いという考えを示している。これは、最近発見された別の電波バーストに関する解釈に異論を唱えるものとなっている。今回の研究によって得られた知見からは、少なくとも2種類の高速電波バーストの存在が示唆されている。
doi:10.1038/nature17140
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