Research Press Release
黒色腫の転移に重要な役割を果たす分子の発見
Nature Communications
2011年11月24日
P-Rex1タンパク質が、転移性黒色腫で何らかの役割を担っていることが明らかになった。今回の研究は、P-Rex1が転移性黒色腫の新たな治療標的となる可能性を示唆している。 転移性黒色腫の患者は、従来の化学療法にほとんど反応しない傾向がある。変異型タンパク質を標的とする阻害剤が発売されて、がん遺伝子Brafの変異を持つ患者の治療につながったが、それと異なるタイプの黒色腫には別の治療法が必要とされる。今回、O Sansomたちは、P-Rex1を持たないマウスに、メラニン芽細胞の移動の異常を原因とする腹部の白化が起こることを明らかにした。Sansomたちは、細胞移動と転移が似た特徴をもつことから、P-Rex1が転移に関与している可能性があると考え、今回の研究で、P-Rex1ヌルマウスを黒色腫のマウスモデルと交配させたところ、転移が抑制された。そして、P-Rex1がヒト黒色腫の検体で過剰発現していることも明らかになった。したがって、今回得られた知見は、P-Rex1が黒色腫の転移に何らかの役割を果たしており、新しい薬剤標的となりうることを示唆している。
doi:10.1038/ncomms1560
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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