【動物学】カの飛翔におけるユニークな翅の動かし方
Nature
2017年3月30日
カの飛翔を支える独特の空気力学的機構について説明する論文が、今週のオンライン版に掲載される。
飛翔するカの細長く薄い翅は、その大きさの割に素早く動き(振動数が約800 Hz)、他のどの昆虫分類群よりも翅の上げ下げが小さい。その角度は約40度で、ミツバチの半分以下であるため、カがどのようにして飛翔するのかということ自体に関する推測がなされてきた。
今回、Richard Bomphreyたちの研究チームは、カが、前縁渦による揚力発生(翅の先端に沿って生じる低圧の「気泡」による揚力発生機構で、昆虫の大半が用いている)に加えて、いわゆる後縁渦と翅の回転による揚力発生機構という2つの空気力学的特徴も利用していることを明らかにした。他の昆虫は、体重を支持する力の大部分を翅の打ち上げと打ち下ろしによる並進時に生み出すのに対して、カの翅は形状も動きも独特で、打ち上げと打ち下ろしが切り替わる際にしばらく翅を回転させて、体重を支持する力の大部分を生み出す。その結果、後流捕獲(昆虫が直前の翅の打ち上げ又は打ち下ろしで失われたエネルギーを取り戻して揚力を増す現象)の一種が原因となって翅の後端に渦が生じる。
カが進化して、他の昆虫が用いる運動学的パターンの通常の範囲を超えた運動をするようになった理由は分かっていない。これに対し、Bomphreyたちは、高い振動数の羽ばたきにより大きな慣性パワーが必要となっているが、それが他の選択優位性によって補われており、音響通信が関係している可能性があるという考えを示している。
doi:10.1038/nature21727
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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