宇宙にも広がっている科学界のジェンダーバイアス
Nature Astronomy
2017年5月27日
女性が筆頭著者の天文学の論文は、男性が筆頭著者の類似した論文よりも引用される数が10パーセント低いことが、今週のオンライン版で発表される。この研究は、天文学の分野でジェンダーバイアスが存在することを明白に示している。
他の科学分野におけるこれまでの研究により、女性が筆頭著者となっている論文は、男性が筆頭著者となる類似した内容の論文と比べて評価が低いことが示され、女性は著名な科学雑誌や著者の順位で過少に評価され、また女性研究者の論文の被引用回数がおよそ10パーセント低いことが示されている。しかし、引用におけるこの影響を数量化することは、時に書誌データが乏しいことや、論文の引用回数に影響を与える複合的な要因のため、困難であった。
Neven Caplarらは、1950年から2015年に発行されたAstronomy & Astrophysics、The Astrophysical Journal、Monthly Notices of the Royal Astronomical Society、Nature および Science の5種類の雑誌に掲載された149,000編の論文を、機械学習の技術を使用して解析した。本論文の著者たちは、筆頭著者の研究経験年数や所属、論文の著者数、参考文献数、出版年、雑誌名および研究分野などの性別と関係のない特性を組み合わせた後で、筆頭著者が女性の論文と男性の論文との被引用回数を比較した。この比較により、女性を筆頭著者とする論文の引用回数が系統的に低いことが示された。本論文の著者たちは、ジェンダーバイアスをさらに定量化するために、自己引用の傾向や研究者たちのネットワークなど、論文の他の特性と著者とに関する追加解析が必要であると結論づけた。
doi:10.1038/s41550-017-0141
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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