【物理学】シャンパンボトルのコルクを抜くと湯気のように立ち上る霧
Scientific Reports
2017年9月15日
シャンパンボトルのコルクを抜くと、通常、灰白色の霧が立ち上るが、この霧の発生が、シャンパンの保存温度に影響されることが判明した。この研究結果を報告した論文が、今週掲載される。
シャンパンボトルのコルクが抜けると、ボトルの首の部分から噴出するガス混合物が断熱膨張(気体が熱の出入りなしに体積を増大させて温度が低下する現象)を起こし、その結果として隣接する空気が冷却され、周囲の空気中に含まれる水蒸気が凝縮して特有の灰白色の霧が生じる。しかし、この過程が、これまで考えられていた以上に複雑なものである可能性が生まれている。
今回、Gerard Liger-Belairたちの研究グループは、異なる温度(6℃、12℃、20℃)で保存されたシャンペンの透明ボトルからコルクが抜ける様子とボトルの首の部分での凝縮過程を高速撮像した。この凝縮過程によって灰白色の霧が生じるのだが、この過程でボトルの温度が1つの役割を果たしていることが分かった。20℃で保存されたボトルの場合に、特有の霧ではなく、ボトルの首の内部で発生した青いプルームが見られ、霧の場合よりも短い時間で消えてしまったのだ。Liger-Belairたちは、全ての保存温度で、ボトルからコルクが抜けてガス混合物が断熱膨張した後、ボトルの首の部分に氷水の塊が生じるが、ボトルの温度が高くなると、氷水の塊と接触した気相の二酸化炭素が凍結し、20℃のボトルで観察されたような青いもやが生じるという仮説を示している。
doi:10.1038/s41598-017-10702-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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