Research Press Release
【素粒子物理学】ギザの大ピラミッドに新たな空洞が見つかった
Nature
2017年11月3日
クフ王のピラミッドは、エジプトのギザに建設されたピラミッドのうちで最大のものだが、これまで知られていなかった内部構造が判明した。これは、宇宙線を用いた透視画像化による新発見であり、現代の素粒子物理学が古代の構造物に関する新情報をもたらす過程を例証している。この研究成果に関する論文がNatureに掲載される。
大ピラミッド(クフ王のピラミッド)は、古代エジプトのファラオであるクフ王(ケオプス)の治世(紀元前2509~2483年)に建設された。このピラミッドの建設方法に関しては意見の一致はない。今回、Mehdi Tayoubi、森島邦博(もりしま・くにひろ)たちの研究グループは、このピラミッドの内部構造を解明するためにミューオンを用いた透視画像化を行った。ミューオンは、宇宙線から生成され、岩石を透過する。ミューオンは岩石や空気中を透過する際に独特な軌跡を描くため、空洞と固体の区別ができる。
森島たちは、3種類のミューオン検出技術を用いて大きな空洞の可視化に成功したことを報告しており、この空洞については、長さが30 m以上で、断面積が、その下方に位置する「大回廊」の断面積に近いと推定している。この空洞の正確な構造と役割は解明されなかったが、これらの新知見は、今後の研究に道を開き、このピラミッドとその建設プロセスの解明に役立つ可能性がある。
doi:10.1038/nature24647
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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