【合成生物学】より多くの遺伝情報の保存と読み出しができる半合成生物
Nature
2017年11月30日
非天然型の人工的遺伝情報の保存と読み出しができる半合成生物(半合成大腸菌)について記述された論文が、今週掲載される。この半合成大腸菌は、新しいタンパク質の合成や新しい機能性の創出のための基盤となる可能性がある。
遺伝暗号は、4種のヌクレオチド(アデニン、シトシン、グアニン、チミン)によって構成され、そのうちの2つが対になってDNA二重らせんの横木になっている。2014年に発表されたFloyd Romesbergたちの論文では、4種の天然型ヌクレオチドに2種の非天然型ヌクレオチドを加え、そのうちの2つが対になってDNA二重らせんが形成されるように拡張された遺伝暗号が組み込まれた半合成大腸菌の菌株について記述された。この半合成大腸菌は、拡張された遺伝暗号を維持し、複製することができたが、非天然型ヌクレオチドを利用して正常なDNAのようにタンパク質をコードさせられるかどうかは明らかになっていなかった。
今回、Romesbergたちの研究グループは、この半合成大腸菌が、天然型ヌクレオチドと同じ効率で非天然型ヌクレオチドを転写、翻訳して、非天然型アミノ酸を含むタンパク質を合成できることを明らかにした。この半合成大腸菌は、非天然型アミノ酸を含むタンパク質を合成でき、天然のタンパク質の場合と比べて効率の低下はなかった。
非天然型の修飾タンパク質を合成する生物を作り出すことは、合成生物学の長年の目標となっている。今回の研究成果は、非天然型アミノ酸を含む新しいタンパク質を設計する研究に道を開くものであり、新しい治療薬、プラスチックやその他の材料を開発する方法にもなっている。
doi:10.1038/nature24659
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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