【材料科学】カラー印刷に対応した書き換え可能な紙
Nature Communications
2018年1月10日
多色画像を印刷でき、画像の長期間保持と消去ができる紙(書き換え可能な紙)の新しい作製法の有効性について報告する論文が、今週掲載される。
再使用可能な紙は、環境面もコスト面も使い捨ての紙より大きなメリットがあるが、一般消費者向けの市場で売られていない。その理由としては、カラー印刷ができ、画像の長期間保持と消去ができる紙が開発されていないことが挙げられる。
今回、Qiang Zhao、Wei Huangたちの研究グループは、カラー印刷ができ、多色画像が6か月以上にわたって保持され、必要に応じて画像の消去もできるという紙とインクの組み合わせを設計した。このインクには、金属塩を溶かした水が用いられており、紙も改良されて、これらの金属と相互作用する分子が含まれるようになった。インクジェット方式による模様とテキストの印刷が行われると、この紙は、新たな化合物が生成されるにつれて色が変化し、インクに使用される金属塩に応じて異なった色になった。また、広範な種類の金属塩を利用できるようになり、印刷できる色の数も増えた。さらに、この化学結合には可逆性があるため、この紙に特定の物質を塗布すると、この化学結合が切断され、画像を消去できる。
Zhaoたちは、この新たに設計された紙の場合に、印刷された色があせ始めるまでに最大8回の書き換えしかできないことを指摘しているが、そのコスト低減戦略に基づけば、採算の合う形で書き換え可能な紙を実現できる可能性のあることを指摘している。
doi:10.1038/s41467-017-02452-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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