Research Press Release
【動物学】フウチョウ科の鳥が持つ漆黒の羽根の謎
Nature Communications
2018年1月10日
超黒色の羽毛を持つフウチョウ科の鳥がいるが、この超黒色が、羽根の微細構造の配列状態によって生み出されており、この羽根に直接入射光の最大99.95%が吸収され、吸収にその微細構造が寄与しているという結論を示した論文が今週掲載される。
フウチョウ科の複数種の雄には、漆黒のビロードのような羽毛とそれに隣接して色鮮やかな羽毛が生えている。この漆黒の羽毛は、驚くほど艶がなく、近縁種の普通の黒色羽毛より著しく黒い。
今回、Dakota McCoyたちの研究グループは、分光光度法、走査型電子顕微鏡など数々の方法を用いて、フウチョウ科の7種の鳥(そのうちの5種が超黒色の羽毛を有し、2種が普通の黒色羽毛が有している)から採取された黒色の羽根において、構造による光の吸収が果たす役割を調べた。その結果、超黒色の羽根の小羽枝(羽根の中心にある羽軸から枝のように生えている羽枝の表面に生えている細長い枝)が高度に変化して、垂直方向に傾いて並んでおり、そのために、光の散乱が顕著に増大し、反射率が普通の黒色羽毛の約100分の1になった可能性のあることが判明した。
McCoyたちは、構造的に光の吸収率の高い超黒色の羽毛が進化した理由として、隣接する色のついた羽毛を実際よりも鮮やかに見せて、求愛誇示を行う際に、つがいになりそうな個体の注意を引ける点を挙げている。
doi:10.1038/s41467-017-02088-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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