琥珀の中のクモ
Nature Ecology & Evolution
2018年2月6日
古代と現代の特徴が不思議な混ざり方をしている新たなクモの化石を報告する2編の論文が、今週掲載される。これらの化石には、現生クモ類に特有の紡績器官である多分節の出糸突起が含まれている。
クモ類の系統は極めて繁栄しているが、その進化には未解明の側面が残されている。今回2つの研究チームが、いずれもミャンマー琥珀の中に保存されている1億年前の原始グモの標本を計4点用いて、クモ類の起源を明らかにした。Bo Wang(王博)たちは、タイプ標本を含むChimerachne yingiの化石2点を紹介している。属名は「キメラのクモ」を意味し、このクモの仲間に原始的な特徴と現代的な特徴が混在していることを表している。Gonzalo Giribetたちは、別のC. yingiの化石2点を紹介している。
C. yingiは、クモ類の最初の祖先よりも2億年新しく、現代のサソリ類にみられる尾節という長い尾のような付属肢を含め、現代のクモ類とは外観的にかなり異なる特徴をいくつか備えている。しかし、対照的に、C. yingiには現代のクモ類とよく似た紡績用の多分節の出糸突起が保存されている。
C. yingiの化石には古代の特徴と現代の特徴が組み合わさって見られることから、2編の論文は、系統樹上でこのクモが占める場所に関して異なる見解を示しており、Giribetたちは絶滅したクモ類のクモガタムシ亜目に分類しているが、Wangたちは最初の真のクモ類の1つとしてクモ目に属するのではないかと結論付けている。
doi:10.1038/s41559-017-0449-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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