【持続可能性】ゆっくりと着実な方法でプラスチックの製造競争に勝利できるとは限らない
Nature Communications
2018年7月25日
通常のプラスチックと同じような特性を有し、持続可能性の点でより優れたプラスチックポリマーの製造法について報告する論文が、今週掲載される。今回の研究で、ボトルグレードのポリエチレンフラノエート(PEF;再生可能資源を用いたバイオプラスチックの1種)が30分以内で得られることが実証された。
我々は現代社会で利用されているプラスチック種に依存しており、そのため、現行のプラスチック種の代替品で持続可能性を備えたものを見つけ出すことが最重要課題となっている。しかし、持続可能性を有するプラスチックポリマーは、標準的なプラスチックより性能が劣っている(例えば、変色、熱劣化)ことがほとんどで、特定の日常的用途に利用できない。ポリエチレンフラノエートは望ましい特性を備えているが、反応時間が非常に長いため、合成直後から劣化が始まる。
今回の論文で、Massimo Morbidelliたちの研究グループは、ボトル用途に最適な特性を有する長い直鎖状のポリエチレンフラノエートを形成するための開環重合法を紹介している。この方法では、最初に高沸点の溶媒を用いて、出発物質である小さな環状のポリエチレンフラノエート鎖とスズ系触媒を混ぜ合わせる。ポリマー生成物は形成されるとすぐに、反応条件下で溶解し、出発物質の転換が促進される。この方法を用いると、反応が30分で完了し、望ましい特性を備え、劣化と変色を最小限に抑えたポリエチレンフラノエートが形成される。
doi:10.1038/s41467-018-05147-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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