Research Press Release

公衆衛生:電動キックボードの利用者はオートバイや自転車の利用者よりも脳や内臓の損傷リスクが高い

Scientific Reports

2026年8月7日

イングランドおよびウェールズにおける電動スクーター(e-scooter;一般に電動キックボード)利用者は、オートバイや自転車の利用者よりも、脳や内臓の損傷リスクが高い可能性があることを報告する論文が、オープンアクセスジャーナルScientific Reports に掲載される。著者らは、ヘルメット着用義務化、速度制限の厳格化、および変形可能なハンドルグリップや制動性能の向上といった電動キックボードの設計改善など、これらを含む対策により、電動キックボードの安全性を高めることを推奨している。

電動キックボードは、世界中の都市部で利用されているが、負傷やリスクに関する信頼できるデータは限られていた。

David Bodanskyら(チェルシー・アンド・ウェストミンスター病院NHSファウンデーション・トラスト〔英国〕)は、2020年から2022年にかけてイングランドおよびウェールズの18都市で中等度から重度の外傷を負った患者1万5247人(電動キックボード利用者580人、オートバイ利用者7027人、および自転車〔ペダル式〕利用者7640人を含む)に関する「全国重症外傷登録(National Major Trauma Registry)」のデータを分析した。電動キックボード利用者の87.9%は成人だった。その結果、成人の電動キックボード利用者は、オートバイ利用者と比較して、外傷性脳損傷のリスクが3.5倍、内臓損傷のリスクが1.5倍、および動脈または静脈の損傷のリスクが3.2倍高いことが示された。これらのリスクは、自転車利用者と比較しても、それぞれ1.7倍、1.4倍、1.7倍高かった。しかし、成人電動キックボード利用者の骨折リスクは、オートバイ利用者より20.0%低く、自転車利用者より10.0%低かった。ヘルメットの着用が確認されたのは、電動キックボード利用者の5.9%にとどまったのに対し、オートバイ利用者は75.7%、自転車利用者は45.0%であった。著者らは、こうした低いヘルメット着用率が、電動キックボード利用者の脳損傷リスクを高める可能性があると指摘している。さらに、電動キックボードの設計上、衝突時に利用者がハンドルバーを越えて頭から転倒するリスクが高まる可能性があることも指摘している。

2万3193件の自己申告による電動キックボードの衝突およびニアミスに関する追加分析では、男性利用者の衝突リスクは女性利用者より36%低く、女性利用者は重傷を報告する確率が2.1倍高いことが示された。その理由として、電動キックボードの多くが男性の体格を想定して設計されていること、および以前の報告で女性利用者が歩道や未舗装路を走行する可能性が高いことが関係している可能性があると著者らは考察している。

著者らは、ヘルメットの着用、電動キックボードの設計、都市インフラ、および利用者の行動など、複数の要因が電動キックボード利用者の負傷リスクに影響を与えている可能性があると推測している。また、これらの要因や、電動キックボードの安全性を高めるための潜在的な対策の有効性を調査するため、さらなる研究が必要だとしている。

Kungwengwe, G., Gach, M.W., Gowda, S. et al. E-scooter riders sustain more head and internal injuries than motorcyclists and cyclists in England and Wales. Sci Rep 16, 23470 (2026). https://doi.org/10.1038/s41598-026-59829-5

 

doi:10.1038/s41598-026-59829-5

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