【がん】急性骨髄性白血病の薬剤感受性のマッピング
Nature
2018年10月18日
急性骨髄性白血病(AML)患者における特定の変異と薬剤感受性の関連を示すデータセットについて報告する論文が、今週掲載される。この知見は、AMLの生物学的側面と臨床的側面を解明する手掛かりとなる可能性がある。
AMLは、非常に多様な疾患で、少なくとも11の遺伝的分類があり、患者全体で約2000種の変異遺伝子が観察されている。このように複雑な変異パターンがあるために、有効な薬剤療法の開発が難題になっている。わずかな数の薬剤療法が患者に適用可能だが、その内容は、この30~40年間ほぼ変わっていない。
Brian Drukerたちの研究グループは今回、Beat AML試験の562人のAML患者から採取した672件の腫瘍生検データセットから得られた最初の知見について報告している。Drukerたちは、エキソーム塩基配列解読(タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列解読)、RNA塩基配列解読、および薬剤感受性解析を組み合わせて、腫瘍検体の多様性を調べた。その結果、AMLでこれまでに観察されたことのない新規変異が見つかり、変異と薬剤療法に対する応答性の関連も判明した。例えば、FLT3遺伝子、NPM1遺伝子、およびDNMT3A遺伝子の変異と抗がん剤イブルチニブに対する感受性の間に有意な関連が認められた。このことは、これらの遺伝子(とりわけFLT3遺伝子)が変異している患者の方がイブルチニブを使った治療に対する感受性が高い可能性を示唆している。
これらの結果と今後このデータセットから得られる他の知見により、AML治療の新たな臨床的アプローチが開発される可能性がある。
doi:10.1038/s41586-018-0623-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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