【天文学】地球外の環境条件で作られたデオキシリボース
Nature Communications
2018年12月19日
実験室の標準的な宇宙物理学的条件下で、氷混合物に紫外線を照射して生成した残渣物から2-デオキシリボース(DNAを構成する糖)と数種類のデオキシ糖誘導体が検出されたことを報告する論文が、今週掲載される。この研究によって、デオキシ糖誘導体の一部が炭素質隕石試料から初めて同定された。これに対して、分析の行われた隕石試料では、2-デオキシリボースなどの高分子糖類の存在は確認できなかった。
この25年間で、宇宙物理学的氷に似た化合物に対する光照射や粒子衝突をシミュレートする実験室実験によって、非生物学的条件下で有機分子が生成し得ることが明らかになった。また、始原的な隕石の中に糖誘導体(リボースなど)やその他の生体化合物(アミノ酸など)が存在していることは、原始地球上で生物学的過程が開始した化合物のかなりの部分が、彗星、隕石、および惑星間ダスト粒子によって運び込まれたものである可能性を示唆している。
今回、Michel Nuevoたちの研究グループは、宇宙物理学的条件下で、水とメタノールからなる氷混合物に紫外線を照射して生成した残渣物から2-デオキシリボースとその他のデオキシ糖誘導体を検出した。また、Nuevoたちは、隕石試料の分析で、数種類のデオキシ糖誘導体を検出したが、2-デオキシリボースなどの高分子糖類の存在は明確に確認できなかった。しかし、Nuevoたちは、別のもっと大きな隕石試料を分析すれば、これらの高分子糖類が地球外環境に存在していたかという疑問に対して確度の高い答えが得られるかもしれないという見解を示している。
doi:10.1038/s41467-018-07693-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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