【化石】四肢類が高度な歩行をし始めた時を再現するロボット
Nature
2019年1月17日
先史時代の四肢類(四足の動物)は、これまで考えられていたよりも早くから陸上で効率よく歩行する術を身に付けていたことが、ロボット工学と模擬骨格による知見から示されたことを報告する論文が、今週掲載される。この知見は、陸上での効率的な移動運動が発達してから羊膜類(爬虫類、鳥類、哺乳類)の進化と多様化が起こったことを示唆している。
四肢類が水中での生活から陸上での歩行に踏み出した時、さまざまな適応が後押しをした。四肢類に属する羊膜類は、急速に多様化し、より効率の良い直立歩行の発達と関連付けられてきた。しかし、高度な移動運動が発達した時期は明確になっていなかった。
今回、John Nyakatura、Kamilo Meloたちの研究グループは、Orobates pabstiの化石を調べた。Orobatesは、約2億9000万年前に生息していた大型の草食四足動物で、羊膜類の近縁種だと考えられている。Orobatesの化石とそれに対応する足跡化石の照合が行われ、Orobatesの動作と歩様に関する知見が得られた。著者たちは、このOrobatesの化石と足跡の分析結果を現生の両生類種と爬虫類種(計4種)の測定結果と組み合わせることで、Orobatesのデジタル復元を行い、ロボットシミュレーション(「OroBOT」と命名)を構築し、これを用いて歩行様式に関する仮説の妥当性と有効性を調べた。
著者たちはその結果、Orobatesが、羊膜類以外の四肢類と通常関連付けられてきた歩行よりも直立に近い姿勢で歩行できた可能性が非常に高いことを明らかにした。従って、高度な移動運動様式は、これまで考えられていたよりも早い時点で発達したと、著者たちは考えている。
doi:10.1038/s41586-018-0851-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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