Research Press Release

腸管粘膜の防御に関係する抗体の多様性

Nature Immunology

2011年1月24日

腸内の免疫機能を正常に保つには、腸内細菌に対する抗体を微妙に調節する能力が必要なことが明らかになった。

IgAと呼ばれる種類の抗体は、腸などの粘膜組織の分泌物中に豊富に含まれている。体細胞超突然変異(SHM)と呼ばれる過程によって抗体遺伝子の多様化を引き起こす役割を担うのは酵素AIDで、腸をさまざまな病原体の攻撃からうまく守るには、この過程が不可欠である。

本庶佑(京都大学)たちは、変異AIDタンパク質を発現するためにSHMを起こせないマウスでは、細菌が異常に増殖し、腸の免疫細胞が過剰に活性化されることを発見した。この変異マウスでは腸内細菌集団に偏りも生じ、病原菌に対処するための手段が少なく、コレラ毒素によって腸組織に損傷を受けやすい。

doi:10.1038/ni.1991

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度