Research Press Release
【公衆衛生】アフリカに対する資金援助はマラリア根絶には不十分
Nature Communications
2019年5月29日
マラリア対策に向けた国際的資金援助は、現在のレベルではアフリカでのマラリア根絶には不十分であることを指摘する論文が、今週掲載される。著者たちは、アフリカ諸国で1人当たり約25~30ドルの援助が必要だという考えを示している。
アフリカにおける熱帯熱マラリア原虫感染症の有病率は2000~2015年に半減し、マラリア死亡率は同期間に57%低下した。この傾向は殺虫剤処理した蚊帳の配布や採用といった管理措置に起因しており、一見希望が持てる。しかし2015年以降、マラリア根絶に向けた進展は停滞しており、マラリアの疾病負荷が増える一方で、資金援助のレベルが低下している。
今回、Josselin Thuilliezたちの研究グループは、マラリア制圧の経済的側面に関するモデルを用いて、資金援助がマラリア負荷に与える影響を調べた。その結果、現在の資金援助のレベルでは、マラリアの根絶に必要と考えられる予防策を十分広範に採用するには不十分なことが明らかになった。その理由の1つは、十分な助成金が支給されても、多くの人々が貧困のために予防措置を実施できないことにあると、Thuilliezたちは主張している。このモデルによれば、この落とし穴を克服し、アフリカにおけるマラリア根絶に向けた傾向を継続させるには、1人当たり約25~30ドルの援助が必要だと予測されている。
doi:10.1038/s41467-019-09991-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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