【工学】発声時の振動を用いた音声認識システム
Nature Communications
2019年6月19日
首の皮膚の振動を検知することで人間の声を正確に認識する皮膚貼り付け型センサーが実証されたことを報告する論文が、今週掲載される。このセンサーデバイスは、一連の原理実証試験で実証されたように、音声認識によるセキュリティーシステムや声の健康管理に応用できる可能性がある。
人間の声を検出する皮膚貼り付け型振動センサーは、既存の音声認識技術と競争できる可能性を秘めている。ただし、現行の皮膚貼り付け型センサーは、騒音環境や強風環境で音声を認識できるなどの長所がある一方で、音声周波数の全域で感度にムラがあるといった性能の限界があり、利用範囲が制約されている。
今回、Kilwon Choたちの研究グループは、正確な音声検出ができる皮膚貼り付け型フレキシブルセンサーを作製する方法を考案した。この設計により、減衰(振動の振幅の減少)が最小限に抑えられ、声の圧力(声のパターンと声量)と直接相関する測定値である皮膚の加速度を正確に検出できるようになった。Choたちは、今回設計された皮膚にフィットする極薄型電子デバイスが、人間の声の周波数帯域全体にわたって高感度で、正確に音声を検出できることを明らかにした。
Choたちは、この電子デバイスを音声認識による入退室管理システムに組み込んで検証を行い、ユーザー本人とは別のユーザーが正しいパスワードを発声した場合でも、本人の声を正しく認識できたことを明らかにした。また、このシステムは、ユーザー本人がフェイスマスクを着用した場合にも、その声をはっきりと認識した。
doi:10.1038/s41467-019-10465-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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