【工学】クラゲから着想した多機能超小型ロボット
Nature Communications
2019年7月3日
ハチクラゲ類の幼生(エフィラ)に触発されて設計された数ミリメートル大のテザーなし超小型ソフトロボットが物体の運搬や穴掘りなどの機能を実行することを報告する論文が、今週掲載される。今回の研究では、このロボットが一連の作業を完了させるために、その胴体の周囲を流れる水を操作できることも明らかになった。
遊泳ロボットは、生物医学と環境の分野での応用に有望視されている。しかし、遊泳能力を有する小型ロボットの設計が存在するにもかかわらず、ロボットの小型化が進むにつれて、複雑な物体操作のような高度な機能性が難題になっている。これは、ロボットに組み込める部品の大きさに制約があるためだ。
今回、Metin Sittiたちの研究グループは、磁性複合エラストマー製のコア(直径3ミリメートル)に8枚の折り曲げ自在な縁弁(フラップ)を取り付けた数ミリメートル大のロボットを設計、製作した。このロボットに振動磁場をかけると、これらの縁弁が、遊泳するクラゲのように縮まったり、広がったりする。Sittiたちのクラゲ型ロボットは、遊泳に加えて、大きさの異なるビーズの中から特定のビーズを選択的に運搬することで食物の捕獲を模倣し、細かなビーズの層にもぐり込んで「捕食者」から逃れ、目標物を探索し、異なる流体を混ぜ合わせ、自らの後方に化学経路を生成できる。Sittiたちは、このロボット設計が、環境の変化がエフィラの生存に及ぼす影響を理解するためのモデルシステムとしても使用できると主張している。
doi:10.1038/s41467-019-10549-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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