Research Press Release

気温上昇に対する人間の応答を予測する

Nature Communications

2011年6月22日

ヨーロッパでの気温上昇によって、人間の死亡率の季節変動傾向が変わり、死亡率のピークが冬から夏へ移るとする予測が発表された。この予測は、これからのヨーロッパ社会で、気温の変化に順応するための重要な行動をとる必要が生じることを示している。この研究成果の詳細を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。 全球的な気温上昇に対する人間の感受性については、十分な解明が行われていない。今回、J Ballesterらは、ヨーロッパの200以上の地域における気温、湿度と1日当たり死亡率の関係を調べた。Ballesterらは、温室効果ガスシナリオのシミュレーションに基づく気候モデルから予測死亡率を計算し、2070〜2100年には人間の寿命が今よりも平均で最大3〜4か月短くなると予測し、夏場の暑気に関連する死亡率の上昇によって、冬の死亡率の低下が完全に帳消しになるという見方を示している。 ただし、人間が文化的、生理的、行動的にどのように気候変動に適応するかによって、この予測は変わってくる。実際に、Ballesterらが、人間が気温上昇に急速に適応するというシナリオに基づいて予測したところ、21世紀末に向けて人間の寿命が長くなるという結果になった。

doi:10.1038/ncomms1360

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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