Research Press Release
瞬きする眼の3Dモデル
Nature Medicine
2019年8月6日
瞬きするヒトの眼の三次元モデルが、ヒト細胞を使って作製された。ヒトの臓器には、外部環境に対する門番の働きをしている複雑な多細胞構造があって、これによって内部の恒常性が維持されている。このような組織障壁の解明は進んでいるが、その多面的な特性を模倣するのはまだ難しい。
この難問に取り組むために、D Huhたちはヒトの眼球の一番外側の層の形状と細胞構成を模倣した、眼球表面の3Dモデルを開発した。彼らはまず、角膜と結膜由来の組織細胞を気液界面上で増殖させ、眼球表面を作り出した。次に、この眼球表面を涙液と自発的な瞬きを真似た人工ヒドロゲル眼瞼に触れさせるようなプラットフォーム内で培養した。このようなプラットフォームを使ったことで、蒸発亢進型ドライアイのモデル化が成功し、研究中の薬の治療効果が検証された。
細胞を用いるこの新しい系は、いずれは既存の動物モデルに取って代わることになるだろうが、これが今後の創薬や検証を促進できることを示すには、もっと研究が必要だとHuhたちは述べている。また、脈管構造や免疫細胞、神経支配など、他の種類の細胞や機能をこのモデルに取り入れるのにも、さらなる研究が必要になるだろう。
doi:10.1038/s41591-019-0531-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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