Research Press Release

中国では送電網による供給電力より太陽光発電が安くなっている

Nature Energy

2019年8月13日

中国の都市では、産業用および商用の太陽エネルギーシステムが供給する電力が、送電網による供給電力よりも安くなったことを明らかにした論文が、今週掲載される。この知見は、近い将来に中国において、産業用および商用の太陽エネルギーシステムの売電を大きく促進する可能性がある経済的な動機を提示している。

太陽光発電の価格が送電網による供給電力の価格よりも高いと、太陽エネルギーシステムを購入する経済的動機が低下する可能性がある。多くの先進国は、太陽エネルギーシステムに補助金を支給して、高いコストを埋め合わせている。中国などの発展途上国では、多額の補助金が支給されないかもしれないが、人件費やシステムのハードウエアコストが低いため、送電網による供給電力と同等の価格が実現される可能性がある。

今回J Yanたちは、中国の都市における太陽エネルギーシステムの総額と発電電力量を見積もり、都市レベルの送電網による供給電力の価格と比較した。さらに、グリッドスケールの太陽光発電の価格も見積もり、送電網によって供給される石炭火力発電の価格と比較した。その結果、中国の344都市全てで、産業用および商用の太陽光発電システムが、送電網による供給電力より低いコストで発電できることが見いだされた。こうした都市の22%では、グリッドスケールの太陽光発電システムについても、石炭より低い価格で電力を生産できる。

doi:10.1038/s41560-019-0441-z

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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