Research Press Release
停止用バルブの組み立て
Nature Immunology
2011年7月18日
免疫細胞が炎症誘発性の情報伝達を停止させるしくみが、明らかになった。この発見は、癌の原因となるウイルスHTLV-1がT細胞白血病を誘発するしくみを分子レベルで理解するのに役立つだろう。
炎症にかかわる情報伝達経路は、厳密に調節されている。長期にわたる活性化は、組織の損傷を引き起こす可能性があり、関節リウマチなどの自己免疫疾患や大腸癌を始めとする一部の癌の発生に結びつくとされている。
E Harhajたちは、情報伝達の停止バルブとして炎症性メディエーターの生産を止める働きをする細胞内タンパク質複合体の形成に、タンパク質TAX1BP1が不可欠なことを明らかにした。この停止スイッチの引き金となるのはキナーゼIKKαによるTAX1BP1のリン酸化で、リン酸化されたTAX1BP1は、炎症誘発性情報伝達の基盤を崩す働きをするA20複合体の他の成分と結合できるようになる。
doi:10.1038/ni.2066
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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