腟内細菌の移植は反復性膣症に悩む女性の助けになるかもしれない
Nature Medicine
2019年10月8日
健康なドナーの膣液(微生物を含む)の移植によって、それまで抗生物質治療に反応しなかった細菌性膣症の女性5人のうちの4人で臨床症状が改善したという予備的研究の結果が報告された。
細菌性膣症はよく見られる病気で、腟内微生物種の間に自然に形成されるバランスが変化している。ほとんどの場合、このような変化は治療が不必要だが、抗生物質の投与によって回復することもある。しかし、一部の女性では膣症は極めて強い不快感の原因となり、生活に大きな影響を与え、性感染症にかかったり、他の泌尿生殖器疾患を発症したりしやすくなる。
E Elinavたちは、細菌性膣症を繰り返し発症したことがあり、抗生物質には反応しなかった女性5人を選んで、腟内微生物相(マイクロバイオーム)の移植を行った。膣液のドナーには厳しいスクリーニングを行って、感染の可能性を排除し、また膣液の提供の前は性行為を控えるように依頼した。移植後、著者たちの観察によれば副作用は見られず、移植を受けた5人のうちの4人では、移植後5~21か月間にわたって症状の著しい改善が見られた。5人目の患者は、病状は改善したものの不十分だった。また、臨床症状の改善が見られた4人の患者の腟内微生物相には、Lactobacillus属の微生物が多くなっていることが分かった。この属の微生物は、健康な腟内微生物相環境に関連していることが、これまでの研究で明らかになっている。
この小規模な研究では、微生物相療法によって患者全員にある程度の効果が見られたが、腟内微生物相移植の治療効果をしっかり検証するには、無作為化プラセボ対照試験が必要だと著者たちは述べている。
doi:10.1038/s41591-019-0600-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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