Research Press Release
より大きなスケールでの量子干渉の低減
Nature Communications
2011年4月6日
大きな有機分子で量子の波動性と量子干渉が証明された。この知見は、これまで達成されていたスケールより大きなスケールで量子干渉を低減させることに向けた一歩前進かもしれない。研究の詳細は、今週、Nature Communicationsに掲載される。
量子干渉は、量子論の最も難解な概念の1つであり、量子干渉によって、波状の粒子が、その進行方向と干渉することがある。この原理の理解を深めることは、量子計算に用途のある量子情報科学の分野において有益だ。
M Arndtらは、最大430個の原子からなる分子において量子波動性を観測し、内部自由度が1000を超える複雑系において高い量子コヒーレンスを実現できることを実証した。これらの知見は、小型タンパク質と同等の複雑性クラスのナノ粒子を用いた量子実験に新たな境地を開くものといえる。
doi:10.1038/ncomms1263
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化学:シベットコーヒーの秘密は化学にありScientific Reports
-
量子物理学:「時間を逆転させる」ことで量子ダイナミクスを探るNature
-
環境:リチウムイオン電池リサイクルのための国際的な枠組みNature
-
生態学:一部の石サンゴが気候変動を生き延びる可能性Nature
-
素粒子物理学:チームワークがニュートリノの挙動の理解を深めるNature
-
気候変動:米国の都市における肉の消費がもたらすカーボンコストNature Climate Change
